愛情の鎖


ーー…



「お、じゃましま〜す」


それから少しして、私はコウさんの部屋のリビングの扉を開けた。

もちろん彼の承諾は得ている。ここ数日こうして屋上からこっそり通うのが私の密かな楽しみ、というか日課。

「いつでも自由に入って来い」という彼の優しさに素直に甘えることにした。
だから普段ここの部屋の鍵は常に開いた状態になっていた。



「よぉ、腹減った」


部屋に入るなり、コウさんが現れた。

第一声がそれなの!?もっと感じよく挨拶ぐらいできないの ?と思ったが、彼のふっと目を細める仕草に不覚にも胸はトキめいてしまう。

悔しいけど格好いい。

しかも今日はベージュのチノパンと黒のカットソーというラフな格好。首元のラインにさりげなく入ったグレーの色合いがとてもシンプルで、落ち着いた大人の雰囲気がよく似合ってる。