「アホか……」
そしてそんな彼の力強い声が私の耳に響く。
だけどそれはいつもよりずっと優しく、とても愛情溢れるもののように聞こえた。
「俺はそんなにやわじゃねぇ」
そう言って、コウさんの熱い眼差しが容赦なく突き刺さる。
「俺を誰だと思ってる。つーか、俺の心配をするよりまず自分の心配をしろ。俺がどうとかそんなことはどうでもいい。俺が聞きたいことは一つだけ。お前があの男と別れたいのか、そうじゃねぇのか。俺に会いたいのか、会いたくねぇのか、それだけだ」
あ……
その力強さに息を飲む。
直視できないほどのコウさんの瞳。
コウさんって、こんな情熱的な表情もできるんだ。こんなに熱い言葉も向けられるの?
そうリアルに感じながら、 私は張り裂けそうな思いをかかえたまま、またつー涙をこぼす。
そしてこの時、私の中のガチガチだった理性もガラガラと壊れるように音をたてた。
込み上げてくるのはコウさんへの思い。
「好き」という苦しいほどの熱い感情。
もう、自分では押さえきれないほどのコウさんへの大きな恋心。



