愛情の鎖


「明日もここで待ってる」


コウさんの声が耳の中に響く。強く鮮明に。

そのままグイッと引き寄せられた私は自動的にコウさんの方へと向かされた。


「明日もここに料理作りに来い」


それはまるで、媚薬のような囁き。

何も考えられずにコウさんに視線を合わせれば、彼は今しがた食べていた炒飯には興味をなくしたように、私に向かって真剣な眼差しを向けていた。


「明日も会いたい」

「……なに、言ってる、の?」


一生懸命普通に話そうとしてもダメだった。

自分の意思とは逆に声が震える。思わず顔が強ばってしまった。


「行き、ませんよ。もう、来ません」


それでも私はそう言った。

これが私の精一杯の誠意。

私なりの身を焦がすような覚悟なのに…


「俺はお前に会いたい」


目の前の彼はそんな私の思いを容赦なくぶち壊してくる。
真剣な瞳に、怖いぐらいの真っ直ぐな言葉。


「お前が会いたくなくても、俺が会いたい」


そう言って、私の心をいとも簡単に撃ち抜いた。