「へー炒飯か、美味そうじゃん」
「…あ……」
クシャクシャと、私の頭にコウさんの手が触れた。
彼は私の前まで来ると、あろうことかいつもは見せない笑顔で「サンキュー」と、口元を緩めたのだ。
ドキリ…、その瞬間心臓が飛び出しそうになる。
だから、何も言えなかった。言えなくなってしまった。
私は咄嗟にうつむき、赤くなった顔をコウさんに見えないように隠す。
「……あ、お茶、お茶飲むよね?」
そうして私はこうさんからわざとらしく離れた。
このまま一緒にいたら危険だ。
私の心臓がどうにかなってしまう。特に今日のコウさんからはただならぬ色気のオーラを感じる。
冷蔵庫からお茶を取り出すと、コウさんはすでに炒飯に手をつけていた。
以前と同様、同じカウンターでスプーンを口に運ぶ姿は、どことなくいつもより柔らかい感じに見える。



