「い、いつからそこに居たの?」
「さぁ?梨央がウキウキしながら卵を割るぐらいから?」
そんなに前から?
けっこう前じゃない。
だったら声ぐらいかけてくれてもいいのに。気づかない私も私だけど。
そんなに前から見られてたと思うと、急に恥ずかしさが込み上げてくる。
「何でそんな所で見てるのよ」
「なんとなく、梨央が可愛いかったから」
「かっ……」
可愛い!?
今、誰が言ったの??
半分固まりながコウさんを見た。とてもじゃないけど、あのコウさんのセリフだとは思えない。
「えっと…、何か変な物でも食べたの?」
「は?」
「だって、今日のコウさんさっきから変だよ?」
急にご飯作れだとか、私を遠くからずっと見たりして。はっきりいってよく分からない行動ばかり。
なのに、彼はさらに変なことを口走る。
「だとしたらそれはお前のせいじゃね?」
「えっ……」
私の……せい?
どういう意味?
私は困惑気味に顔を右に傾けた。
私、何かした?そう聞き返そうと思ったら、コウさんがゆっくりとこっちに歩いてくる。



