愛情の鎖


「あ、あのっ……」

「ここ、冷蔵庫の中に入ってるものだったら適当に使ってもらっていいから」


「じゃあよろしく」と言って、スーツの上着を脱ぎ出したコウさんに目を丸くする。

そしてぼーぜんと立ち尽くす私を置いてけぼりにして、自分はさっさと寝室の方へと消えてしまった。




「なっ……」


なんなの!?

一言も話す機会すらも与えられなかった。

そのまま冷蔵庫の前に置き去りにされた私は、ただただ今の状況を必死に把握するばかり。



「どう、しよう……」


どうすればいいの?

オロオロしつつ、コウさんが出てくるのを少しの間待っていたけれど、彼は寝室に入ったまま一向に出てくる気配がない。

だから観念した。恐る恐る冷蔵庫に手をかけると、困惑のため息が口から漏れる。

はっきり言ってこの現状はよく分からないが、とりあえず私は何かを作らないと帰れないらしい。

それだけははっきり分かる。

そして冷蔵庫の中にはジャガイモとニンジン、玉ねぎにハムと……、ケチャップとマヨネーズ……


はぁ、分からない。

いったい何をつくったらいいのだろう。