「お前がそうしたいなら好きにすればいい」
ああ、なんか泣きそう……
目頭がじんじんと熱くなる。所詮私の恋はそんなもの。
一生報われない悲しい思い。
「ハァ…」と溢れそうな涙を堪えようとすると、突然コウさんがふぅと息を吐き捨てた。
「なぁ…、それより、なんか腹へらね?」
「えっ」
「つーか減った。梨央、お前なんか作れる?」
そう言って、突然話を変えたコウさんに私は伏せていた瞼を上げる。
コウさんは今してた話題はさもどうでもいいかのように私を見て、何故か今度は自分の部屋の方へと視線を移す。
「ちょっと来い」
「えっ……」
腕を捕まれ、私はそのまま手を引かれてく。
有無を言わせないコウさんの態度。
「どうせ暇だ。今から俺の部屋でそのお得意の料理の腕前を見せてもらおうか」
「へっ……」
「お前の手料理食わせて」
瞬きが止まらない。今の今でどうしたらそういう話になるのかと、目を開く。
だけど彼の足は止まらなかった。扉を開けるとすぐ、コウさんは私を連れてリビングに続く階段を降りていく。



