愛情の鎖


「あいつとは昔からのただの腐れ縁だ」


そう、なんだ……

そっかぁ。

途端肩から力が抜ける。

気づけば手のひらも汗でぐっしょり濡れており、いかに私が今まで緊張してたのが見て分かる。


……でも、唯さんはコウさんの彼女じゃない。

違うんだ。

そう思った次の瞬間、気持ちがスッと晴れ渡っていく。

なんか、単純だね。あれだけ悩んでたのが嘘みたいにホッとした気持ちが少し広がっていく。

私に喜ぶ資格なんてないのに、どうしても嬉しくてたまらない。


「大体な、俺に特定の女がいたら、今こうしてお前の相手なんかしてねーよ」

「ああ…、うん」


その言葉にやっぱり嬉しさが募る。

じゃあ、今コウさんの一番近くにいる女の人は私だけ?

そう言われてるようで、心の中が無性に温かく、くすぐったい気持ちに襲われた。