愛情の鎖


そんな現実を思い出して思わず表情が陰りそうになったけど、すぐにハッとした私はコウさんに向かってずっと言わなきゃと思っていたことを口にした。


「あの、それからごめんなさい」


言うなり、私は軽く頭を下げた。

今から言うことはコウさんと距離を置くのにちょうどいい話しだった。


「えっと……私、コウさんに彼女がいるなんて思わなくて、そのっ、今まで馴れ馴れしくしちゃってごめんなさい」


唯さんの存在を知って正直ショックだった。

だけどあれから一晩考えて今の私にとってはその方がいいのだと思った。

コウさんに彼女がいてくれたらその分諦めもつく。私の気持ちもこのままセーブがかけられるからだ。


「だから、この前言った友達の件もなしにしてほしいです」


そしてこのままさようなら。

もう会えないかもしれないけど、しょうがない。

これでいいの。

私が自分で決めたこと。

コウさんに会えなくなるのは辛いけど、このまま一緒にいたらもっとずっと辛くなると思うから。