だけど……
「…どうした?大丈夫か?」
良かっ、た……。
いつもと変わらず話しかけてくれるコウさんにたまらず安堵する。
朝はあんなに感じ悪い態度をとっちゃったのに、こうしてまた普通に接してくれることが素直に嬉しい。
やっと話せた……
いつもと同じく、お世辞にも紳士とは言えない強面なコウさんの姿。
そんな彼の方へ真っ直ぐ視線を定めると、何故だか急に気が緩み、泣きそうな気分に襲われた。
「……っ……」
「……梨央?」
思わず言葉が詰まる。
突然顔を歪めた私を見て、コウさんの瞳もまた少し大きめに開かれる。
どうしよう…
このまま何か話したい。
コウさんと一緒にいたい。
そんな衝動に駆られると、たまらず彼の方へと足が一歩距離を縮めそうになる。
「……晃一?」
……だけどその時、背後から聞こえた声に動かしかけた足が止まる。
ふと、コウさんの後ろから感じたもう一人の気配。
ひょっこり顔を出した人物に私は大きな衝撃を受ける。



