愛情の鎖


宗一郎さんとの食事を終えた私は再び翔太の運転する車に揺られて、マンションまでの道のりを憂鬱に過ごす。

隣には誰もいない。

一緒だった宗一郎さんは先ほど急な用事(仕事)が入り、「すぐに帰る」と言い残し早々と居なくなってしまった。


別に帰って来なくてもいいけど…

宗一郎さんとの食事は最悪だった。

朝から広い個室で高級肉料理のフルコース。

お店は宗一郎さんの顔馴染み、いや、きっと彼の仕事柄みのようで、終始ビクビクと粗相のないよう接客をする姿が印象的だった。

額からは若干冷や汗が出ており、最高のおもてなしをしようとアタフタする態度がとても痛々しいオーナー。

きっと宗一郎さんにお金でも借りてるのだろう。

その証拠に帰り間際、オーナーが宗一郎さんに分厚い封筒を渡してるのをトイレから出た私はこっそり見てしまった。

頭をペコペコとさせ宗一郎さんにご機嫌をとる彼。

パッと見、とても人が良さそうで年齢的にはうちの親と同世代ぐらい。

そんな彼とのやり取りにを目の当たりにして嫌でも心が痛まないわけがない。

だからだろうか、まるで3年前の自分の親を見ているようで、この人も私と同じ。
宗一郎さんに支配されてる一人だと思うと胸がかきゅーっと縮まる思いがした。