けれど、その思いは叶わなかった。
何故ならそれからの一週間、宗一郎さんが私にベッタリだったからだ。
仕事にも行かず、1日中家にいた宗一郎さんに顔から次第に笑顔が消えていく。
「今まで帰って来れなくて悪かった。やっと今までの仕事にけりをつけた。しばらくは梨央と一緒にいるから安心しなさい」
まるで暗闇に閉じ込められたようだった。
ニヤリと私の頬にキスを落とした宗一郎さんに、私は愛想笑いの一つもできなかったのだ。
ただしとやかに、「はい…」と答えた私は今日も朝から愛情のない料理を作るだけ。
そしてベランダに出て洗濯を干せば、ついつい空を見上げるふりをして、屋上の方へと意識が飛んでしまう。
「コウさん元気かな……」
もう一週間以上も会ってない。
もちろん連絡もとってない。
コウさんから携帯にかかってくることはまずないと思うし、宗一郎さんがいる手前、私からかけることなんて不可能。
だからコウさんとのやり取りはパタリとなくなってしまった。



