彼は地元の貿易会社の人間で、仕事を通じて知り合ったんだ。

ヤンというのが彼の名前。

たぶん互いに似ているものを感じたんじゃないかな。
2、3回食事をしてからすぐに深い仲になり、ヤンは僕のアパートに入り浸るようになった。

でもね、困ったことに、ヤンには当時彼女がいたの。しかもその彼女と婚約までしてるって言うじゃない。

嫉妬に狂うってほどのことでもなかったけど、やっぱり気分悪くて怒ったね。『それを最初に言え』って。当然家から追い出したよ。

僕はもうそれっきりだと思ってたんだけど、次の晩、会社から帰るとヤンが家で待ってたんだ。

『彼女のことは好きだけど、サトルの方がもっと好きだ。結婚は避けられないけど、これからも自分と会って欲しい』と。