友達が みんなが通う美容院に電話を
かけて 今日の予約を入れてくれた
「尚たん 今日 パーマ オッケーだよ」
電話を掛けてくれた友達が
ピースサインをしながら 私に言った
学校の帰りに その美容院に
走って向かった
駅前の雑居ビルの3階の美容院
「いらっしゃいませ」
金髪のショートの かっこいい
お姉さんが私に 笑顔で近寄ってきた
「あの…予約しました…」
「昼休みに電話くれた
みっちゃんのお友だちねー」
そう言って 私が預けた荷物を
カウンター後ろのロッカーに入れ
奥の席に 案内された
大きな鏡の前で
鏡越しの私に そのお姉さんは
「どんな髪型か 決めてある?」
私は 友達から借りた雑誌の
ページを開いて 指を差して
「この色と この髪型にしたいです」
私は 少し緊張していた
「了解 先のお客さんカット終わるまで
本でも見ててね
染めとパーマには時間ちょうだいね」
そのお姉さんは 笑顔で言った
最初すごく緊張して
自分の髪型の
出来上がりが気になって
それから どのくらい
時間が過ぎただろう
「お待たせしましたー」
私は うとうと してしまったみたい
途中から 記憶は 途切れ 途切れ
目を覚ました私は 目の前にある
大きな鏡の前の自分に目が釘付け
この美容院のドアを開けるまでの
私は
黒髪の地味なロングストレート
そして 今の私は
雑誌の中に 可愛く映る女の子に
似た
明るめの茶色に
ロングのふんわり ゆるめのパーマの私
なんだか すごく嬉しくて
悠太に はやく会いたい
そう思った
