ピピピッ…!



「ん〜…」



まだ眠いなぁ…

なんて思いながら、
ベッドから降りてリビングへと向かった。



「お母さんおはよ」

「おはよう〜…アンタ、髪ボサボサよ」

「わかってる!」



確かに髪を触ると、
爆発したかのようにボサボサだった。



「今日から高校2年生でしょー。しっかりしなさいな」

「もう!わかってるってば!」



もう…
お母さんったらうるさいなぁ。


鏡の前で髪をクシでとかし、
少しでも可愛く、綺麗になろうとした。




「無理無理、そんなんじゃ、男一匹も寄って来ねーよっ」




カッチーン


また朝からコイツか…!
頭にくるなぁ…


私の後ろに立っていたのは、
サラサラの茶髪をした、見た目だけはカッコイイ…

私の、幼馴染。



名前を、月村龍也

12年前、私の家の隣に引っ越して来て以来、
家族ぐるみでの付き合いがある。


…けど




「アンタねぇ!毎朝毎朝、私の家にあがらないでくれる?!」

「だってオバさんがご飯作ってくれるんだもーん」




私はコイツが大嫌い。
嫌いになった理由は、とうの昔に忘れた。






「自分で作りなさいよ!」




龍也の両親は、共に海外に単身赴任。
龍也は実質一人暮らし。

だから、朝ごはんは私のお母さんが作ってあげるのが恒例になっていた。




「お前…オレが作れると思ってんの?」

「いや全然」

「だろ」




あー…もう!
また龍也のペースに持ってかれちゃう。



「二人ともー、朝ごはん出来たわよ〜」

「やったオバさんのご飯ー!」



ご飯の為にダッシュするとか…子供か。



「はぁ…今日も疲れる朝になっちゃったなぁ」