……"すき"。




「意味わかんない。

ちょーし乗んないでくれる?」


「ホントホント。

ちょっと杉瀬くんが、あんたに構ってくれるからって調子乗らないで。
たいして可愛くないくせに……」



花奏のことが好きだってことが気付いた日から数日後。


たまたま校舎裏に行った時。
話し声が聞こえた。


なに、また俺が関係してんのかよ…。



相手にばれないように、そっと影から現場を見てみた。




「調子なんか乗ってない。」



その声は、聞き覚えのある声だった。




「それに、あんたたちは、杉瀬くんが私を構ってるって思ってるかもしんないけど、杉瀬くんはそんな人じゃない。

あんたたち、本当に杉瀬くん好きなの?
好きなら、なんでそんなことわかんないの?


だから、あんたたちに言われる筋合いなんかない!!!」






ーーーーーーー花奏だった。


なんで…
葉山が…。


葉山とは、花奏の苗字。
この時はまだ、花奏のことを葉山と呼んでいた。



「はぁ!?

あんたに何がわかんのよ!!

知ったかぶりなんてしないで!?」



花奏に向かって、ぴんぴんに開いた手が振りかぶった。






パシッ…