今日。わたしの誕生日。


この日にずっと十何年間募らせてきた思いを終わりにするって決めた。


もう、離れちゃうし、彼女もいるしね。


もしも彼女が家から出てきたらってときのために笑って『幼なじみなんでー』って言う準備しとかなきゃな……。



ってあぁもぅ、嫌な想像よりも告白のことでしょうが!!


今日はめったに着ない甘いスカート履いてきたんだし。



白いチュールスカートが風でヒラヒラと揺れた。


いつもなら『珍しいー』ってからかってくるお母さんも今日は家にいない。


お父さんもお姉ちゃんもどこかに出掛けてるみたいで、わたしの誕生日なのにヒドイよね……。



カチャ



鍵が開く音が聞こえてわたしは咄嗟に目を瞑る。


そしてドアが一気に開いて、風で今日頑張ってきた前髪が崩れそうになった。



彼女じゃ……ありませんように。


でも目の前にいた人からは、あいつからしたことのないような甘い香りがした。