殺戮都市

「公開レイプだ、可哀想に。味方には手を出さない代わりに、敵を捕えてはこんな事をする。どこの軍でも、同じ事が行われていて、誰もそれをおかしいとは思わないんだ」


誰が聞いたって、おかしいと思うはずなのに。


そんな事ですら、この街の人達は分からなくなっているのか。


ま、人を殺す事が普通と思っているなら、全ての犯罪行為に対して感覚が麻痺しているのかもしれないけど。


すすり泣く女の子に、とてもじゃないけど声を掛ける事なんて出来なかった。


「少年、裸の女の子を見て興奮している所悪いが、服がない。キミの学ランを彼女にやってくれないか?」


「えっ!?いや、興奮してないし!」


そう思われるのが悔しくて、慌てて学ランを脱いだ俺は、死神にそれを突き付けた。


カッターシャツだけの方が動きやすいけど……なんだか心許ない感じがするな。


女の子に学ランを掛け、ゆっくりと立たせた死神が何かボソボソと話している。


俺には聞き取れないけど、聞いてはいけない女同士の会話のような気がして、深くは追求しなかったけど。


「よし、じゃあ光の壁まで行くぞ。しっかりエスコートしろよ。か弱い女性が二人もいるんだ」


……死神がいうセリフかよ。


なんて思ったけど、俺はこの女性になぜか安心感を覚えていた。