殺戮都市

「意外と……話してくれるんですね。もっと怖い人かと思ってたけど」


死神が見詰めるバベルの塔に、何があるのかは俺には分からない。


ポーンと呼ばれる怪物が守っていて、誰も近付く事が出来ないという事くらいしか。


「それは、皆が勝手にそう思っているだけだ。自分の軍以外の人間は殺すべき敵だと思っているようにな。話を聞く人間には話すよ」


皆が抱くイメージは、話してみると全然違うと言うわけだ。


どうも、人を殺すのが当たり前と思っているこの街の人間とは馴染めそうになかったけど、この人は違うかもしれない。


それこそ話してみて分かるってやつだ。


「まあ、そんなくだらない話は後だ。あの少女を帰してやりたい。手伝ってくれるか?」


その為に現れたのだろう。


死神の異名とは異なるその行動に、かなりの違和感を覚えるけど、断る理由なんてなかった。


ステージに上がると、女の子は酷い格好をしているのが分かった。


もうその機能が完全に失われたブラウスの切れ端で肌を隠して……スカートや下着なんかは完全に引き裂かれている。


そこには、彼女の意思など微塵も感じられなかった。