殺戮都市

逃げ惑うほど人の波が途切れ、交差点の真ん中に設置された、簡素なステージが見えた。


そこには……10人を超える死体があって、光の粒に変化し始めている。


「これ……皆殺したのか！？」


騒ぎになってからそれほどの時間が経っていないのに、これだけの人を殺すなんて。


ステージ上で、半裸の女の子の前に立ち、男達を前にトンファーを構えるライダースーツの女性。


「くそっ！何が死神だ！！俺達の邪魔をしやがって！！その女を返せコラ！！」


大きなハンマーを取り出して、死神を怒鳴りつける男。


だけど、そんな声に怯えた様子も見せず、流れるような動作で死神は男達に向かって行った。


しなやかで、流れるような動き。


まるでスローモーションでも見ているかのようなのに、男達はその動きに反応出来ないようで。


手の中でクルクルとトンファーが回転し、男が振り上げたハンマーを振り下ろすより早く、男のアゴを捉える。


下から上へと、これ以上ないと言うほど綺麗に入った打撃。


パンッと、何かか弾けるような音が聞こえ、男はハンマーを振り上げたまま後ろに倒れたのだ。


倒れた男の顔から……アゴが消えて、大量の血液が飛び散っていた。