殺戮都市

その直後、人々が悲鳴を上げて公園の前の通りを逃げるように通り過ぎる。


「や、やつが来たぞ!!逃げろ!」


「お、押すんじゃねえ!!」


一体何があったのか……この人達の怯え方は尋常じゃない。


もしかして……ここまであの怪物がやって来たのか?


「何かとんでもない事があったみたいだね。僕達も退散しようか」


そう言ってベンチから立ち上がった新崎さん。


明美さんも奈央さんも立ち去る気で、俺もそれに続こうとした時、とある言葉が耳に入って、俺は足を止めた。














「死神だ!」












死神……あの女性が?


姿を見せただけで人々が逃げ惑うほど影響力があるなんて。


皆と一緒に逃げるべきだ……そうは思っていても、どうしてもあの鮮烈な戦いぶりが頭から離れなくて。


「さ、先に行っててください!」


「あ、真治君!?」


公園を飛び出し、ステージがあった交差点へと俺は駆け出した。


死神と戦おうとか、そんな事は全く考えていない。


ただ、この街の人達に死神と呼ばれる彼女が、俺のチンケな正義感と同じくらい異端な物だと感じたから。