殺戮都市

この街がどうやって生まれたとか、そんな事はどうだって良い。


問題は、この街から出る事が……元の世界に戻れるのかどうかという事だ。


それなのに、街の主がこの様子では、それも出来そうにないのだけれど。


「そんな主が残した、最後の報酬だ。お前にはどちらかを選ぶ権利が与えられた」


呆然と立ち尽くす俺に、クイーンは無表情で話し続ける。


一体どんな報酬だってんだ。


こんな状況で、事前に用意されたような報酬なんて、俺が望む物じゃないに決まってる。


ありそうな物で言えば、この街の新しい主になるとか、不死になるとか……。


だけど、クイーンの口からは、思いも寄らない言葉が発せられたのだ。












「一つは、この街で得た力を持ち、現在生存している人間全員を元の世界に戻す」










その言葉を聞いた瞬間、俺は目を見開いた。


俺が望んでいた事が、今、クイーンの口から飛び出したのだから。


だけど、今となってはそれも虚しいだけ。


元の世界に戻っても会えるかどうか分からないけれど、大切な人を失ってしまったのだから。













「そしてもう一つは、この街で得た力は失うが、今までに死んだ全ての者をこの街で生き返らせて、お前だけが元の世界に戻る」













提示された選択肢に、俺は何も言えなくなった。