あれからどれだけの時間が流れただろう。


恵梨香さんから離れたくなくて、ずっとそばにいるけど、徐々に体温が無くなって、肌が冷たくなっている。


こんなになるまで、俺はここにいたのか。


ここから見える街の様子はいつもと変わらないように見えて……。


バベルの塔を攻略しようと集まってくれた人達も、もう撤収してしまったのかな。


俺にはまだやらなければならない事があるのに、いつまでもこんな事をしていても仕方ないよな。


悲しみから逃げるように恵梨香さんを抱きしめていたけど、恵梨香さんの望みはこんな事じゃない。


「俺、行って来ます。そして、またここに戻って来ます」


恵梨香さんをこのままにしておく事は出来ない。


こんな腐った街を作った主ってやつに会って、罪を償わせてやる。


その力が、今の俺にはあるはずだから。


ゆっくりと立ち上がって、恵梨香さんの頬をもう一度撫でた俺は、クイーンが降りたエレベーターへと向かった。


案内すると言っていたから、クイーンがいなければ動かないのかなと思ったけど……そういうわけでもなく。


ボタンを押すと扉が開き、俺はそれに乗り込んで、二つあるうちの「2」というボタンを押した。