殺戮都市

何かが来ると、俺が判断した時には身体はもう動いていた。


正面にいる女性を蹴り、後方に飛び退く。


女性が手を伸ばし、指で俺が回避する前にいた場所を指差す時には、すでに離れていてこちらに被害はない。


「相手の正体が分からないうちに飛び掛かるとは迂闊だぞ、少年!」


「ち、違うんです、勝手に身体が……狩野が」


そうは言っても、二人には本当にそうなのか知る術がない。


何でもかんでも狩野のせいにして、俺がしたい事を出来てしまう危険性があるのだ。


「カノって……何だい?真治君の事だから重要な……」


「ハゲも黙れ。来るぞ!」


狩野の事を知らないおっさんが、ただ質問しようとしただけだったのに……目の前の女性がゆっくりとこちらに近付いて来るから、それを中断させようと恵梨香さんの罵声。


「……女性には敵わないよ」


もうそれしか言えないようで、溜め息を吐いて首を横に振った。


そんなおっさんを見て、こんな大人にはなりたくないと思ったけど……この先の事なんて、今を乗り切らなければ考えるだけで終わってしまう。


情けないと思う大人にすらなる事が出来ないのだ。