殺戮都市

この中で唯一、あの音に気を取られずに動いた中川が尻尾を止めてくれた。


「助かった!」


そう言って飛び上がり、中川の肩を蹴ってビショップの尻尾を越えた恵梨香さん。


俺もそれに続いて中川の頭を踏んでジャンプする。


尻尾の先端。


細いとは言え、それでも俺の身長よりも直径は大きい。


「そんな尻尾くらい、止めないで叩き切れば良いのよ!」


尻尾を挟んだ向こう側から、明美さんの威勢の良い声が聞こえた。


おっさんもこっち側にやって来て、三人ですぐに階段を駆け上がる。


背後の尻尾が、いつこっちに迫って来ると思うと気が気じゃない。


それ以外にも攻撃手段はあるのだから、常に周囲を警戒しておかなければならないのだ。


ビショップがこちらを見ている。


だけど、残った三人の攻撃を無視出来るはずもなく、しばらくすると俺達の事は諦めたのか、視線を外した。


「まだまだ階段は続くみたいだな……ゴールが見えない」


今、どれくらいの高さまで上ったのか。


上も下も、良く分からないほどぼやけて見える。


壁や天井、床自体が発光しているから余計に距離感が掴めないのだ。