殺戮都市

良く考えれば、その可能性だってあったはずなのに。


前に振り落とされたからって、それしかしないと思い込んでいた。


「くそっ!」


出来れば前に逃げたかったけど……急な坂になっている腕だ。


俺は後退する事を選び、軽く後ろに飛んだ。


直後、眼前に左手が打ち付けられる。


その振動が腕に伝わり、足元が激しく揺れたのだ。


振り落とされてなるものかと、肘の装甲の繋ぎ目に日本刀を引っ掛けて耐える。


だけど……そのまま振り落とされていた方が良かったかもしれない。


眼前の手が、俺を捉えられなかったと気付いたのだろう。


ルークはすぐに、その手を俺の方にスライドさせて来たのだ。


これにはたまらず、腕から飛び降りる。


軽やかな着地を決め、俺は顔をしかめてルークを見上げた。


こんなの……一人じゃどうにもならない。


他に気が向いていてなら出来るだろうけど、俺にしか注意が向いていない状態で頭部を狙うなんて不可能じゃないか。


時間がないってのに、まさかこんな所で足止めを食らうなんて。


日本刀も、この強敵を前にビクンビクンと震え始める。


どうすれば良いのか……そう考えていた時だった。












ビルの上に……人影が見えたのは。