「一体何を考えているんだ?私なんかに会いたいなんておかしなやつだな。さては、またエッチな事が出来ると考えているんじゃないだろうな?」


……思ってなかったのに、そう言われると意識してしまうじゃないか。


「そ、そうじゃないですよ!ただ俺は、バイクに乗ってる恵梨香さんが格好良いだろうなって!将来俺が何をしたいか参考になるんじゃないかって!」


そんな事ばかり考えていると思われたくない一心で、身体を起こし、慌てて声を上げた。


きっと、相当焦ったんだと思う。


俺の姿に驚いた様子で、恵梨香さんも身体を起こし、チラリと中川達のいる方に目を向けた。


「分かったよ。静かにしないと二人を起こしてしまう。そんなに声を荒げるな」


ソファから脚を下ろし、立ち上がってゆっくりと俺の方に向かってくる。


俺の隣に座り、ポンポンと頭を二度叩いたのだ。


「少年は強いから、きっと生き残れる。もちろん私も死ぬつもりなんてない。元の世界の戻れたら、少年にも分かるように合図を送るから、私を見付けてくれ」


そう言って、恵梨香さんは俺に顔を近付けた。


合図って何をするつもりだろう。


何もわからないまま、俺は近付いた恵梨香さんと唇を重ねた。