殺戮都市

ゲームばかりやっていた俺が考える、このイカれたゲームのエンディング。


大切な人が皆生き返って、皆で元の世界に戻って終わり。


そんな未来を想像するしか……俺が潰れずにいる方法が見当たらなかった。


「はっ!随分自分に都合の良い解釈だな。少年は世界を救う勇者で、バベルの塔には大魔王でもいるってのか?」


俺を小馬鹿にしたように笑う中川。


だけど、話に割り込んで否定しなかったという事は、中川も少なからずそう思いたいんじゃないのかな。


死んだ大切な人達が生き返る……。


そうだと信じたら、バベルの塔に乗り込む意味が生まれるから。


「だけど悪くない考え方だな。好きだぜ、そういうガキみたいな考えは。何より、大切な人達が生き返るってのが気に入った」


元に戻った腕で、膝をトントンと叩きながらまた笑顔。


普通ならこんな馬鹿げた考えに賛同してくれる人なんていない。


厨二病か?とか言われるのが関の山だけど、中川は笑って乗ってくれた。


きっと……動き出す為に、誰かに背中を押して欲しかっただけなのだろう。


どんなに馬鹿げた理由であっても、強引に動かそうとするんじゃなくて、自分から動いてみようと思える理由が欲しかったんだ。