殺戮都市

メットを取った恵梨香さんの表情は険しくて、ブツブツと呟いてバベルの塔を見上げている。


「おい、少年。北条は何を言ってやがんだ?」


「さ、さあ?何かに気付いたみたいだけど……なんだろ」


きっと、暫く考え込んで、自分の中で結論が出るまでこの状態が続くんだろうけど。


俺と中川がこんな事を話してるなんて気付きもしないでブツブツと独り言。


そして、ようやく考えがまとまって、俺達に話をしようという時には中川の腕も繋がっていた。


「……私達は、とんでもなく無駄な事をさせられていたかもしれない。もしかすると、東西南北のどの軍勢が生き残ったとしても……その軍勢の人間が元の世界に戻る事など出来ないのかもしれないな」


どういう事だろう?


俺は南軍だから、今の状況だと北軍のキングを破壊すれば、南軍の人間は元の世界に戻れる。


そういうルールじゃないのか?


「それはどういう意味だ?まさかルールが嘘だなんてバカな事はないだろうな?」


中川も、恵梨香さんの言葉は腑に落ちないと言った表情を浮かべている。


「いや、嘘などないさ。ただ、軍勢は四つだけではない。東西南北の他に、中央軍もあるんじゃないか……と、私は考えている」