殺戮都市

ハハッと馬鹿にしたような笑い声をこぼして、俺の背後にあるバベルの塔を見上げる。


いつもそこにありながら、誰もその内部を確かめようとはしなかった巨塔。


その頂上は霞んで良く見えない。


「神がいるなら、こんな所業をさせるはずがない。だが、この街に関する秘密があそこにはあるはずだ。でなければ、ああも厳重に怪物達が守っているはずがないからな」


「何も分かってないんですね……恵梨香さんなら、無茶をして一回くらい乗り込んだかと思ってましたけど」


「そこまで無茶はしないさ。まあ……一度行こうとはしたんだが、あのデカブツに阻まれてな。辿り着く事が出来ずに引き返したのさ」


あ、やっぱり行ったのか。


行ったんじゃないかとは思ったけど、まさか本当に行くとは。


「怪物も強いやつが現れたみたいだな。さしずめ、新しい軍ってとこか?」


ようやく繋がり始めた右腕を摩りながら、中川がボソッと呟いた言葉に、恵梨香さんがハッとしたような表情を見せた。


俺は特にその言葉には何も感じなかったけど……恵梨香さんは何を感じたのだろうか。


「まさか……いや、そうだとしたら。私達は、無駄な殺し合いをさせられているのかもしれない」