殺戮都市

中川の腕が繋がるまで、恵梨香さんはずっと言っていた目的を話した。


バベルの塔……。


出来れば、この街の全ての人間が力を合わせて踏み入るべきなのだろうけど、それは到底無理な話だ。


人は、ほんの些細な線引きででも「敵」と認識すれば、容赦無く相手に牙を剥く。


元の世界で一緒にいた人でさえも、この街では殺すべき対象になってしまうのだ。


それを考えると、俺や恵梨香さんは異端な存在なのかもしれない。


この街にとっては、思惑通りに動かない忌むべき存在。


敵同士と線引きをされてもなお、仲間として協力し合っているのだから。


もしも……あの時、恵梨香さんに付いて行かなければ、俺はどうなっていただろう。


今頃、キングを破壊して元の世界に戻っていたかもしれない。


理沙が、理沙ではないと知らないまま、生活していたかもしれない。


いや……もしかすると、もう死んでしまって、怪物となって人間を喰う為に街を彷徨っていたかもしれないな。


「……そういや、そんな事を言っていたような気がするぜ。バベルの塔か。神の怒りに触れた塔の頂上には何がいるんだ?まさか神か?」