殺戮都市

気付けば俺は、中川の服を掴んで睨み付けていた。


それでも中川は何が何だか分からない様子で、ヘラヘラと笑っている。


その顔が妙に腹立たしくて……俺は拳を振り上げて、それを頬に叩き付けた。


パキッと、なんとも情けない音が聞こえて、拳に衝撃が走る。


背もたれもない椅子の上でバランスを崩した中川は、大きく仰け反って椅子から落下。


床に落ちて、グエッと声を上げたのだ。


「いてて……おい、何すんら!腰が……」


殴られた頬より、落下の際に打ち付けた腰の方が痛いようで、上体を起こして腰を摩る。


「な、なんてか弱いパンチなの……ボーイは喧嘩をした事ないのかしら」


……か弱くて悪かったな。


喧嘩なんて小学生の時に最後にしたっ切りだよ。


それでも、椅子から落とした事でショックは与えられたようだ。


「あの子供達やおばちゃん達が殺されたんだって?それであんたは酒を飲んで忘れようとしてるだけかよ。情けないな」


こんな事を、俺が言っても良いのか?


大切な人を失った時に、いつも恵梨香さんが傍にいてくれたから歩く事が出来ただけで、恵梨香さんがいなければ、俺もこうなっていただけかもしれないのに。