殺戮都市

こんな、人を喰う怪物の腕を切り落としても罪悪感なんて微塵も感じない。


皮膚がなくて見るからにグロテスクなやつに良いようにされてたまるか!


ダラリと左腕を垂らし、右手だけでグッと柄を握った俺に、妙な勇気が湧いているのが分かった。


なす術なく喰われた前回。


恐怖に身が震え上がり、脇腹を噛み砕かれたあの時と同じになってたまるか。


上手くこいつの力を利用すれば、さっきみたいにダメージを与える事が出来るかもしれない。


腕の痛みも感じないほどに、目の前の怪物の動きに神経が研ぎ澄まされ、構えた日本を握る手に力が入る。


悶えている怪物は隙だらけで、その気になれば今すぐにでも殺せそうだけど……脚がまだ震えていて、こちらから斬り掛かる事は考えられない。


いつまで悶えているんだと、集中力が僅かに途切れたその時だった。




















『戦闘終了時間まで、残り10分です』


















ポケットに入れていた端末から、そんな声が聞こえた。


その声に反応したのか、それとも別の何かがあるのか。


目の前の怪物は振り返り、天を貫く高い塔を見上げて……その塔へと走って行ったのだ。