殺戮都市

壁にもたれて、やり切れない気持ちでぼんやりと南軍のビル群を見上げていた。


敵が敵を信じられない気持ちは分かる。


だけどさ、そのくくりだって、最初にどの軍勢に所属するかを決めただけで、憎み合っているわけじゃない。


あの東軍の男の事を想うなら、殺すべきだったのかな。


考えても考えても、答えなんて出ない。


それに気付くのは事が済んでから。


その時にどうすれば良いかなんて、最善の方法は分からないのだから。


悲しみに打ちひしがれていた俺に、前方から奈央さんが近づいて来る。


「真治君、大丈夫?この街では、変な優しさは意味をなさないわ。敵を見たらすぐに殺しなさい」


その言葉にさえ、反論する言葉が思い浮かばない。


「人を殺すなんてしたくないですよ!」と、少し前の俺ならそう言っていただろうけど、今はそれすら言えない。


俺がやった行動は、殺すよりも残酷な結果になってしまったのだから。


「……俺、どうすれば良いんですか。人なんて殺したくないのに、殺さないともっと酷い目に遭うなんて」


俺の気持ち一つ。


そういう事なんだろうけど、納得出来る言葉を掛けて欲しかったのかもしれない。