殺戮都市

ゆっくりと振り返ると、中年男性が息を飲んだのが分かる。


それほどまでに、俺の姿が異様なのだろう。


「北軍と南軍の境界線近く……光の壁の辺りに、キミみたいに強い人がいるって聞いた事がある。もう一月も前の話だから、まだいるかは分からないけど……行ってみると良いかもしれない」


怯えたような様子で言った中年男性に、俺は軽く頭を下げて微笑んだ。


その行動でさえも三人には恐怖を与えたようで。


ビクッと身体を震わせたのが分かった。


部屋を出て、階段を下りながら俺は考えていた。


強いやつがいる……か。


この街では、同じ軍にいる強いやつが味方だとは限らないんだよな。


むしろ、考え方の違いから俺と敵対する事が多い。


そんな不安を抱えつつも、北軍に向かう前にその強いやつに会ってみるのも悪くはないと思っていた。


もしも……万に一つの可能性ででも、俺の考え方に同調してくれるなら、味方になってくれるかもしれないと思ったから。


そんな甘い考えは捨てたはずなのに……それでも期待してしまう俺がいる。


ビルを出て、バベルの塔を見上げた俺は、フンッと鼻を鳴らして光の壁へと歩き出した。