殺戮都市

もう、怪物はただの障害物でしかない。


ビルの二階にいる人達ならいざ知らず、俺と木部くらいになると。


「その動き……以前はなかった。つまり、あの時は手を抜いていたというわけか。嬉しいじゃないか!」


周囲の怪物など眼中に無いと言った様子で、ニタリと笑みが浮かぶ。


バカにされたと激昂するかと思ったけど……笑っている。


そして、二本の脇差を構えて再び俺に接近したのだ。


滅多やたらと振り回す脇差を、日本刀一本でガードする。


徐々に、その勢いに押されて後退を始めた俺に、木部が嬉しそうに口を開く。


「昔はキミに手加減されて殺された!だけど今ではどうです!?キミは俺の攻撃に防戦一方!俺は強くなったって事ですよ!」


木部が強くなったのは間違いない。


俺が押されてるのも事実だし、目覚めて始めての対人戦だと言い訳にするつもりもない。


だけど、ようやく温まり始めた身体が、木部の動きに慣れ始めていた。


狩野に支配されて、強引に限界を引き上げられた身体が……やっと目覚め始めたという実感があったのだ。


「それでも……木部!お前は俺には勝てないんだよ!」


そう確信して、俺は吠えた。