殺戮都市

もう何を言ってもダメなのかな……。


逃げろと言えば、喜んで逃げると思っていた。


「すまない」とか言って、去って行くと思っていた。


でも、こいつらは違ったんだ。


誰かに命令されて、嫌々南軍に攻めて来ていたのならば逃げるだろう。


だけど、そうじゃなかったんだ。


人を殺す為に、キングを破壊する為に、望んで南軍に攻め入ったのだから、俺の言葉なんて信じられないのだろう。


距離を保ったまま後退し続けて、この男をどうすべきか、俺は悩んだ。


人なんて殺したくない。


ソウルがあれば、生き返る事が出来るだろうけど……もしもなければ、この人は本当に死んでしまうのだから。


なんて……考えている場合じゃないかもしれない。


ジリジリと迫って来る男から逃げようと後退していたけど……背中に当たる壁。


奈央さんに手を引かれて歩いていたから、どんな地形か把握していなかった。


「く、来るな!」


方向を変えている余裕なんてない。


思わず構えた日本刀。


切っ先を男の顔に向けて、精一杯の威嚇をする。


これが最後のチャンスだ。


恐怖して、逃げ帰ってくれればそれで良いけど……。


その考えは甘いのだという事を思い知らされた。