殺戮都市

戦いが終わり、残った感情に喜びはなかった。


東軍のキングが破壊されて、死んで欲しくない人達が死んで。


俺の力のなさを痛感させられただけの戦い。


狩野が……死にゆく俺の身体を使って戦わなければ、勝つ事が出来なかった。














「あああああああああっ!!どうして生き返らせなかった!!私の楽しみが、松田が!!」














松田を撃ち抜いた恵梨香さんに、狩野が吠えたのだ。


戦闘中にも見せなかった怒りを露わにして、日本刀を握る手に力が入ったのが分かった。















恵梨香さん、危ない!!















俺がそう叫んでも身体は動くのを止めてくれなくて。


素早く振り上げられた日本刀が、恵梨香さんを襲った。


何が起こったのか……恵梨香さんがその判断をする事は出来ずに、俺の目の前で黒い棒状の物が二本、床に落ちたのだ。












それは、恵梨香さんの右脚と右腕。












俺の制止も聞かずに、振り上げられた日本刀が、恵梨香さんのそれらを奪い取ったのだ。


床に倒れ込む恵梨香さんを見ながら、俺は必死に身体を止めようとしていた。