殺戮都市

勝負はいつも、想像以上にあっけなくついてしまうもので、劇的な勝利などほとんどない。


運が味方して、気付けば勝っているという事が多い。


そして、今回もそれなのだという事が分かった。


松田が振った鞭が俺の頭上をかすめ、狩野は前のめりに倒れるような形で日本刀を横に振ったのだ。


鞭と日本刀。


その二つが平行に軌道を描き……ついにその刃が届いた。











「うぐっ!」














床に倒れ込んで、防御姿勢も取れない。


だけど……松田は攻撃をする事なく、俺の目の前で床に膝を付いたのだ。


松田の腹部から噴き出す血と、流れ落ちる内臓。


それを落とすまいと手で受け止めるけれど……外に飛び出した内臓をどうする事も出来なくて。








「負けたのか……死んだ人間に……」









ボソッと呟いた松田が、床に倒れている俺を見下ろした。


「達也……」


メットを被っていたとはいえ、頭部にダメージを受けた恵梨香さんが、フラフラしながら松田に近付く。


「次は……最初から全力で殺し合おうよ!私もあんたも、万全の状態でさ!早く死んで生き返りなよ
!」