殺戮都市

松田を斬り付けた一撃。


そこから二人の動きはさらに変わった。


グリップ部分を持ち、鞭を振る速度をあげた松田に対し、高速で動いて翻弄する狩野。


どちらの攻撃も当たれば致命傷になると分かっているのだろう。


お互いに攻防一体の技を出し、一撃を喰らわないように鋭い一撃を放つ。


狩野も松田も、さっきまでの余裕のある表情じゃない。


一つでも手を誤れば、その時点で死が決まる。


お互いに向けられた殺意が、ビリビリと空気を震わせているかのように伝わって来る。


「くっ……こんな戦い、俺の力でどうにかなるはずがなかった。一撃当てれば殺せるとか、甘かったぜ」


「諦めるな、力になれなくとも、隙を作らせるくらい私達にも出来るはずだ。もう少年に賭けるしかない」


調子が上がる狩野と松田とは対象的に、背後から聞こえる恵梨香さんと中川の声は弱々しい。


そして……俺の身体も、狩野の動きについて行けなくなり始めていた。


物凄い速さの切り返しで膝に、想像以上の力強い振りで肘に。


ミシミシ音を立てて、限界が近いという事を教えてくれている。


元々、動く事すら出来なかったから、腕や脚がどうなった所で構わないんだけど。