殺戮都市

反撃の暇さえない……そう、思っていたのに。


松田が鞭のグリップ部分を振った時、狩野が動いた。


素早くそれに手を伸ばし、これ以上ないというタイミングで襲いかかる鞭を掴んだのだ。


「何っ!?」


「何っ!?じゃないっての、こうなるって予想出来なかったの?」


そのグリップ部分は、革が巻かれていて、滑り止めになっている。


攻撃を加える部分は金属の繊維が編み込まれているのに、そこだけは掴みやすいように。


他の人間……俺でも、こんなに速い松田の攻撃を受け止めるなんて事は出来なかっただろう。


狩野だからこそ出来た芸当。


そして、松田もまた、狩野がいなくなったからこそ考えた攻撃方法だったのだろう。


まさか、目の前に狩野が現れるとは思わなくて、狩野に通用しない戦法を選んでしまったわけだ。


そんな事を考えている間に、日本刀を持った手が動く。


赤い刃を振り上げ、鞭を掴む松田の手を斬りに。


だが、それは僅かに遅かった。


鞭を掴まれた時点で危険と判断した松田は、それから手を離して後方に飛び退いたのだ。


俺の手から、鞭が消える。


再び松田が鞭を空間から引き抜く。