殺戮都市

明らかに松田の表情に焦りの色が見える。


狩野?


狩野晃……。


確か、この日本刀の前の持ち主だったって言う人物の名前だ。


じゃあ、俺の前に現れた女性がもしかして。


てっきり男だとばかり思っていたから、その考えは全くなかったな。


意識が交代してからは、動きが一変した。


鞭で防がれた日本刀をグッと押し込み、松田にさらに深手を負わせようとするけど、その危険を察知した松田は首を傾けて回避する。


首の横すれすれをかすめた日本刀。


俺ではない俺が、刃を返して肩口を斬り付ける。


完全に入ったタイミング。












……だと思ったのに、松田は両手で持った鞭を巻き付かせて刃の進行を防いだのだ。


俺自身が動いている意識はない。


勝手に動いていて、松田を押してはいるけれど……なんだか悔しい気もする。


今まで自分の力で戦ってきたのに、土壇場で他人の力を借りているようで。


「間違いない……狩野の怨念が宿っているとでも言うのか!さすがは妖刀……己が喰った魂を力にするのか!」


僅かに緩めた鞭。


素早く後方に飛び退いた松田。


だが、俺の身体はそれを追うように走っていた。