殺戮都市

手が、足が震える。


レベルも性能も低い状態であろう日本刀を握り締め、死の危険性を感じながら走っていた。


自分でも遅いのが分かる。


中川の攻撃の後すぐに恵梨香さんが追撃を掛けるけど、俺はまだ攻撃体勢にすら入っていない。


走っても走っても、水の中を走っているかのようで、ねっとりと空気の重みが身体に絡み付く。


「くっ!少年!何をして……あぐっ!」


攻め込んでいた恵梨香さんが、まだ走っている俺を見ている。


そして、松田が振った鞭がメットのシールドをかすり、バキッと言う割れるような音と共に、恵梨香さんが後方に弾き飛ばされたのだ。


「北条!ぐふっ!」


弾き飛ばされた恵梨香さんを見た中川も、鞭の直撃を受けてその場に蹲る。


俺の目の前で……俺が遅いばかりに次々と倒されて行く。


でも無理だ。


今の俺が何人いたって、二人の期待しているような行動は取れないのに。


そんな事を考えている間にも、松田との距離が近くなって行く。


どう攻撃したとしても、折れた日本刀が届くビジョンが浮かばない。


グッと柄を握り締めて、防御姿勢のまま駆け寄った俺に……容赦無く鞭が襲い掛かった。