殺戮都市

奈央さんの言っている事はこの世界では当然で、俺が間違っているんだろうけど、どうしてもそんな考えにはなれない。


この世界で何があったら、そんな考えになれるのかが分からないよ。


負傷した東軍の人と、俺達の距離は10メートル足らずと言ったところ。


「やっぱり俺、あの人を逃がして来ます。何も死ぬ事はないでしょ」


「本気なの?傷が癒えたら助けた事なんて関係なく、私達を襲うのよ?」


「そうだとしても、今は助けた方が良いと思います」


俺はそう囁いてビルの陰から出ると、その東軍の男に近付いた。


もっと怒られて、必死に止められるかと思ったけど、奈央さんは引き止めもせずに。


拍子抜けするほどあっさりと近付き、俺はその人物に声を掛けた。


「おい、あんた。怪我してるんだろ?早く逃げろよ」


近くに南軍の人間がいるかもしれない。


それを考えて、小声で言ったけど……。


















「お、お前は!!騙されるかよ!!そう言って俺を殺すんだろうが!」


俺の声に驚いたように、足を引きずって路地に飛び出した男。


誰かが射った矢が右脚に刺さったままの状態で……男は俺にアイスピックの先端を向けた。