殺戮都市

押し戻され始めた西軍の群れから、逃走しようと徐々に人が離れ始める。


つまり……俺達の方に向かって来ているのだ。


「一旦退け!他のやつらがここに来るまで待つぞ!」


命令、悲鳴……色んな声が飛び交いながら、武器を構えて俺達に迫る。


「そこをどけ!」なんて言われるかもしれないと思って日本刀を抜いたけど……逃げる西軍の人間が俺達に襲い掛かる事はなかった。


俺達を敵として認識していないのか、素通りして。


中には「早く逃げろ!」と、親切に声を掛けてくれるやつもいるほどだ。


手首の光は隠していないのに、よほど混乱しているのだろうという事が分かる。


人が少なくなり、さらには前列の人間が次々と殺されて、そこにいる人物が姿を見せ始める。


暗くて良くは分からないけれど、誰かがいる。


それが、松田であるという事は容易に推測出来るけど……何だろう、この奇妙な感覚は。


戦おうとしていた西軍の最後の一人が殺されて、屍の山の向こうに立つ人物が姿を現す。


ゆっくりとこちらに歩いて、外灯の下までやって来た時……その人物がハッキリと見えたのだ。


「……お前達か。どうしてこんなところにいる?」