殺戮都市

そう言いたいけれど、どうしても鞭の恐怖が頭から消し去る事が出来ない。


何度も口を開いてはみるけれど、言葉を発するには至らなかったのだ。


そんな俺よりも先に、恵梨香さんが俺の耳元で呟く。


「真治少年、私に勇気をくれ」


聞こえたその声が心地良い。


そして、恵梨香さんの額が俺の額から離れて……再び顔が俺に迫って来たのだ。


近付く顔と顔。


戸惑うように微かに触れた唇。


恵梨香さんの手が俺の頬に添えられて、ぎこちなく唇が重なった。


その瞬間、脳を貫くような衝撃が走り、頭の中が真っ白になって身体がフワフワする。


気持ち良い……キスがこんなに気持ち良いなんて思わなかった。


だけど、どうして恵梨香さんはこんな事を。


美人で、いつも俺の先を行っている格好良い恵梨香さんに憧れていた。


だから、俺がキスしたいと言うなら分かるけど……。


勇気をくれ。


このキスが恵梨香さんに勇気を与える事になるのかな。


理沙を殺してしまって、それでも俺が戦って来られたのは、恵梨香さんがいたからなのだろう。


いつも隣で一緒に歩いてきた恵梨香さんが、とても大切な人になっていたから。