殺戮都市

「もう大丈夫。少年には無理は言わないから。ここから先は、私と中川で何とかする。だから、安心してほしい」


寂しそうな笑顔。


それが俺に向けられて、その言葉を聞いた瞬間、俺の目から涙が零れた。











松田と戦わなくて良いと分かって、心底安心したのか……ここで恵梨香さんとお別れだと感じたからか。


それとも、その両方なのか。


「あ……あの……」


「もう良いんだ。何も言うな。今回だけは相手が悪い。少年が嫌がっても仕方がないだろう。だから……もう良いんだ」


何をどう言って良いのか分からないままに、恵梨香さんの顔が近付いて来る。


コツンと、額と額を合わせて、その吐息を耳元で感じられるくらい近くに。


恵梨香さんは恐くないのか。


会うのが元カレだから、どうにかなると思っているのか。


そう思っていたけど……そうじゃない。


額と額。


くっついているそこから、恵梨香さんの震えが伝わって来る。


俺だけじゃない、恵梨香さんも恐いんだ。


それなのに、俺のわがままを怒りもせずに聞いてくれた。


俺もやっぱり行くと言うべきか。