殺戮都市

駄々をこねる子供のように、恵梨香さんの腕を掴んで身体を揺する。


中川は店の外にいるのか、俺がいる場所からは見えない。


今の話を聞かれていたら、文句の一つでも言うかなと思ったけど、それもない。


「落ち着いてくれ、真治少年。ジッとしていないと、傷が治らないぞ」


「松田と戦わなくて済むなら、ジッとしていたくはないです!」


こんな事を言ったら、恵梨香さんは怒るかな。


今まで頑張って来たけど、戦いたくない敵が出来てしまったんだからどうしようもないじゃないか。


軽蔑されても、愛想を尽かされても、戦わなくて良いならそれで良い。


なんて事を考えていたけど……。















恵梨香さんは、怒っているでも、軽蔑しているでもなく、悲しそうな表情を俺に向けていたのだ。


俺の腕に手を添えて、ジッと俺を見詰めている。


「そんな思いをさせていたんだな。いつも頑張っていた少年をここまで追い詰めるなんて……」


そっと俺の手を取り、ギュッと握って自分の額に付けた恵梨香さん。


悲しいそうな表情だと思ったけど、そうじゃなかった。


俺に対する、申し訳ないという表情だったんだと、今分かった。