殺戮都市

上着はボロボロ、所々切り傷もあり、恵梨香さんほどじゃないにしても血が流れ落ちている。


「いくら私でもこの人数を相手にするほど馬鹿じゃないわ。松田さんは良い男だけど、命を張るほどでもないし。そんな恩もないから、私はここまでにしておくわ」


そう言って、大山田はあっという間にこの場から逃げ出したのだ。


潔いと言うか、状況判断が的確と言うか……逃げる前に俺達にした投げキッスが、大山田の余裕を感じさせる。


きっと、あのオカマなら一人でも戦えただろう。


それでも、撤退してくれたのは、俺たちにとっては幸運だった。


「……何だったんだあいつは。騒ぐだけ騒いで、帰って行ったぞ」


今まで戦っていた中川が、これまでの苦労は何だったんだと言わんばかりに溜め息を吐いた。


あまりに突然の事で、俺と恵梨香さんはまだ戦闘体勢のまま。


「えっと……とりあえず終わったんですよね?」


「そのようだが……どうなんだ?」


顔を見合わせて、首を傾げた俺達。


何がなんだか分からないままに終わった戦闘を、どう捉えて良いのか。


釈然としないまま、とりあえずこの傷を癒そうと、休める場所を探して歩き始めた。