殺戮都市

ガンッという音と共に、バランスを崩して倒れる恵梨香さん。


メリケンサックの一撃ではない。


だけど、思いもよらない角度からの一撃は、恵梨香さんに思いの外ダメージを与えたようだ。


「危ない!」


目の前で膝を付いた恵梨香さんの身体に腕を回し、堀田から逃がすように後方に引っ張った。


「くっ……油断した。手を離せ少年。いつまで触っているつもりだ」


そう言われ、俺の手が恵梨香さんの胸を鷲掴みしている事に気付いた。


「え、いや!わざとじゃないですよ!」


距離を取る事に必死だったから、やましい気持ちは全くないんだけど。


「そんなに触りたいなら、後で思う存分触らせてやる。それよりどうだ?この堀田という男、どう見る」


だから、そんなつもりじゃないんだって。


まあ、いつもの恵梨香さんの冗談なんだろうけど、こんな時に行ってる場合じゃないでしょ。


「なんだかやりにくいです。強いとかどうとか言うより、攻撃をさせてもらえないって言うか。本当に俺達の足止めを一人でしそうな感じです」


こいつとの戦闘が始まって、日本刀をまともに振るえていない。


手数の問題もあるだろうけど、正攻法じゃやれないような気がしていた。